今冬に想定される季節性インフルエンザと新型コロナウイルスとの同時流行に向け、厚生労働省が、発熱患者にまずはコロナの抗原定性検査キットで検査してもらい、陽性で治療が必要なら発熱外来を、陰性ならできるだけ発熱外来ではない医療機関を受診するよう促す方針であることがわかった。
ただ、高熱なら検査を待たず受診が必要な場合もあるため、国民にどのように呼びかけるかは検討中という。こうした方針について5日に開く専門家会合「アドバイザリーボード」で専門家に諮って意見を聴く。
厚労省幹部によると、インフルの検査キットは一般の人が購入できないため、インフル流行期に限り、患者にはコロナの検査キットで陰性なら事実上の「インフル陽性」と判断し、受診先を決めてもらうことを検討している。
コロナ患者を診られる発熱外来は全医療機関の約35%にしか設置されていない。発熱患者は自分がインフルかコロナか分からないため、発熱外来には両方の患者が殺到することが懸念されている。
コロナの第6波と第7波の際は、発熱外来が逼迫(ひっぱく)し、受診できない患者が救急車を呼んだり救急外来を受診したりして、救急や一般の医療制限にもつながった。
厚労省は同時流行への対策として、インフル患者にはできるだけ発熱外来ではない医療機関を受診してもらうための方法を検討している。コロナの検査キットで陰性の場合は発熱外来ではなく、近所のかかりつけ医などの医療機関を受診するよう呼びかける。
さらに、院内感染のリスクがないオンライン診療の活用も進める。抗インフル薬「タミフル」をオンラインで処方することも検討中だが、専門家の中には慎重意見もあるという。(枝松佑樹、市野塊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル